「ボランティアに出かける前に」

香山 リカ

1)出かけるあなたに「贈ることば」――自分をチェックしてみよう
ボランティアでいちばん大切なのは、「何かしたい」というその思いです。
そして、その思いは必ず被災地の人たちに伝わるはず。まずは、自分に自信を持ちましょう。
でも、被災地での活動は、いつもの職場や学校、地域でやっていることとは、いろいろな意味で大きく違います。思わぬ疲れ、ストレスを感じることもあるかもしれません。
被災地で元気で活動し、あなたの思いを伝えるためにも、まずは『自分チェック』をしてみましょう。次の5つの質問に、ハイかイイエで答えてください。

(1) 最近、ちょっと眠りが浅い ハイ イイエ
(2) けっこう傷ついたり泣いたりしやすい ハイ イイエ
(3) いま病院に通っていたり、薬を飲んだりしている ハイ イイエ
(4) ストレスがたまると食べすぎたり飲みすぎたりしてしまう ハイ イイエ
(5) ボランティアに行って、自分を変えたい! ハイ イイエ

・「ハイ」が4つか5つの人
体力、気力がやや不足ぎみかもしれませんね。現地では、「もっとできそう」と思っても、6割くらいでやめておいたほうがいいでしょう。「ちょっと疲れてきたかな」と感じたら、すぐにリーダーに言うようにしてください。
「まず自分を大切に、そして被災地の人たちを大事に。」これが、あなたへの「贈ることば」です。

・「ハイ」がふたつか3つの人
体力、気力は7割はチャージされていますが、被災地で疲れすぎるとしんどくなるかもしれません。グループの人と自分とを比べて、「あの人はもっとがんばってるんだから」と無理をするのはやめましょう。
「マイペースでゆっくり動けば、だいじょうぶ。」これが、あなたへの「贈ることば」です。

・「ハイ」がゼロかひとつの人
あなたはけっこう自分の体力、気力に自信があるようですね。まわりからも頼りにされるリーダータイプです。でも、期待にこたえようとしすぎると、知らないあいだに疲れがたまるので注意が必要です。
「私だってスーパーマンじゃないんだから、ほどほどに。」これが、あなたへの「贈ることば」です。


2)やっているすべてのことに、意味がある
職場や学校では、「自分らしさを大切に」と言われますよね。
ボランティア活動でも、ほかの人とは違う、自分ならではのことをしたい!、と思っている人もいるのではないでしょうか。
でも、ボランティア活動で大切なのは、チームリーダーや現地の取りまとめ役の指示に従い、みんなといっしょに作業をすることです。
もしかすると、自分がやりたかった作業を割り当てられなかったり、想像していたのとは時間がすぎたりすることもあるかもしれません。
「こんな作業なら、私じゃなくても誰でもできたんじゃないかな」と思う人もいるようですが、実はそんなことはありません。あなたが手がけるどんな作業も、被災地やそこに暮らす人たちにとっては、とても大切なことなのです。あなたがこれから行うすべてのことには、大きな意味があります。それを忘れないでください。


3)まずは自然で、いいのです
とくにはじめて被災地を訪れる人にとっては、ただそこに行くというだけでも、かなり緊張すると思います。現地に降り立って、まずそこの人たちに何てあいさつすればいいのか。笑顔でいいのか、いけないのか。被災地の状況を見て、ショックで泣きたくなったらどうしよう…。いろいろ考えるだけで、心配になってくる人もいるかもしれません。
でも、それはごくあたりまえのことです。気持ちが揺れ動きそうになったら、それを止める必要もないのです。もし笑顔がひきつったって、被災地の人たちはあなたの気持ちをわかってくれるでしょう。
もちろん、礼儀正しく振る舞ったりチームのルールを守ったりすることは大切ですが、それ以上、「こうしなきゃ」「こうならないようにしなきゃ」と考えすぎないように。自分の中にわいてくる自然な気持ちと向き合いましょう。


4)とにかく、無理はいけません
「よーし、やるぞ!」とはりきって作業を始めたのに、1時間もやっているうちに息切れが…。「おかしいな、もっとできるはずだ」とさらにがんばっていると、めまいがして冷や汗が出てきた。でも、もっともっとがんばらなきゃ…。
こうやって疲れを隠してがんばり続けると、ひどいときには倒れたり病院で手当てを受けなければならなくなったりすることもあります。「支援しに行った人がケアを受ける」という事態は、なるべく避けたいものですよね。
被災地では、想像していたようにはからだも動かず、思うようには作業も進みません。それは誰もが経験することなので、「情けない。もっとやらなきゃ」と自分を責める必要はないのです。実力の5割が発揮できれば十分、合格、と考えるべきです。
いちばん大切なのは、定期的に休憩を取ること。2時間働いたら20分は休む。1日の作業時間は6時間から多くでも8時間までにする。3日続けて働いたら1日は休日に。「人手が足りなくてそんなのは無理」というときも、できるだけこれに近い活動時間にしてください。「もうひとがんばりできるな」と余力を残して休憩に入る、というのがポイントです。
そして、少しでも「疲れたな」「なんだか調子悪い」と思ったら、がまんせずにリーダーや仲間に伝えてください。休むことを、「だらしない」「申し訳ない」と思わないうようにしましょう。どんな職場でも、プロはきちんと休みを取るものです。


5)今日はここまで、と線引きをしよう
ボランティアに出かけたら、その時間は目いっぱいがんばりたい。泊りがけの場合は、夜も現地の人たちと交流したり翌日の作業の準備をしたり、とにかく活動に集中したい。
そういうあなたの思いは、とてもすばらしいと思います。
でも、あなたのボランティア活動は、「今回かぎり」ではないですよね? 今回、出かけて戻ってきたら、また次も出かけたい。そう思っている人が多いはずです。
だとしたら、「長続きするボランティア」のためにも、ぜひ「今日はここまで!」という活動の「線引き」を大切にしてください。「オン」と「オフ」の切り替えをはっきりさせるのです。
一日の作業の終わりに、グループやチームでミーティングをしたら、「おつかれさまでした!」と元気に声をかけあう。そうしたら、あとは「自分の時間」です。被災地に宿泊する場合でも、夜もずっとその日の作業や翌日の活動のことばかり考えていないで、いつもの音楽を聴いたり本を読んだり。「素の自分」に戻る時間を、短くてもいいので作ってください。
そして、明日のためにゆっくり寝る。
ボランティアから戻るバスや電車でも、なるべく眠る。
「私、けっこうがんばった」と自分をほめながらの眠りは、あなたにとって格別の休息になるはずです。

一覧へ戻る

3.11復興支援情報サイト 助けあいジャパン 更新停止のご挨拶

サイト「助けあいジャパン」更新停止のお知らせとお願い
いつも公益社団法人「助けあいジャパン」の活動にご理解とご協力をありがとうございます。
私たち「助けあいジャパン」は東日本大震災の発災後いち早くサイトを立ち上げ、いままで情報支援活動・ボランティア支援活動を、プロボノの方々をはじめたくさんの方々のご協力のもと行ってまいりました。
震災から5年半、地道に更新を続けてまいりましたが、このたび、情報支援サイトとしてある一定の役割を終えたと判断し、サイト「助けあいジャパン」の更新をいったん停止させていただこうと思います。
いままでご協力いただいた方々、応援してくださった方々、情報をくださった方々、そして私たちのサイトを見て東北に行ってくださった方々、本当にありがとうございました。
情報支援サイトの更新はいったん停止いたしますが、支援活動に終わりはありません。公益社団法人として、これからもフェーズに合わせた支援活動を続けていきたいと思っております。
なお、熊本地震では「いまできること」(http://imadekirukoto.jp/)というサイトを運営し、情報支援活動を続けております。
今後、ボランティア・ニーズが起こるような大規模災害において「いまできること」サイトを中心に支援活動を行ってまいります。
これからも公益社団法人「助けあいジャパン」をよろしくお願いいたします。

2016年 9月 7日
代表理事 石川淳哉・佐藤尚之